Apple Vision Pro (M5) 体験記 | 2年の時を経て進化した、次世代HMDをデモ
Appleは2025年10月22日、シリーズ2世代目となるApple Vision Pro (M5)をリリースした。それに合わせ全国のApple Storeでデモを受けられるようになり、実際に筆者もApple 表参道で試してきたのでその体験をまとめる。
予約・受付は以前から変わらず
デモには予約が必須であるというのを昨年のファーストデモの際の記事にまとめたが、その流れは同様である。当日から最大4日後までがAppleの公式サイト、Apple Storeアプリ、または店頭のVision Discoverテーブルの什器から予約できる。予約が完了すると視力に関する質問に答え、Apple Walletに追加したQRコードを提示すると当日もスムーズに体験できる。
もしこのデモが初回であればおそらく筆者が以前記したような質問等の段階があると思うが、筆者はM2モデルの時に複数回デモをしたため、2度目以降は担当するスタッフさんと話す中で柔軟に対応していただける。

Dual Knit Band
M2モデルのときは、Solo Knit BandとDual Loop Bandの2つのバンドがラインナップされており、店頭のデモではスムーズな体験のためDual Loop Bandに統一されていた。Dual Loop Bandは「Dual」の名の通り2点でフィッティングするモデルであり、頭頂部と後頭部の2箇所でループ状のベルクロを固定する形だった。
今回、M5モデルの登場に合わせ新しいDual Knit Bandがラインナップされた。先代の2つのバンドの長所を組み合わせたモデルという印象で、Solo Knit Bandの柔らかな質感とDual Loop Bandの2面固定による安定感を両立している。Solo Knit Bandと同じく固定はダイヤル式によるもので、1つのダイヤルを回すことで頭頂部、後頭部が同時に伸縮するのは快適だ。

従来のDual Loop Bandでのデモでは、被る前後どのタイミングで、どの程度調整していいかの塩梅が難しいところがあった印象であったが、このDual Loop Bandでは最大に緩めた状態で被り、きつすぎず固定できるところまで締める、という手順でできるようになった。これにより、誰でも迷わず、ワンアクションで体験ができ便利になった。
なお、仕様書上で150g程度重量が増加しているとされており、本体重量は変化がないためSolo Knit Band比でおよそ150g増加したものと推察するが、少なくとも30分のデモでは特段重くは感じなかったどころか、フィッティングの改善により快適性が向上したように感じた。
120Hzに対応したディスプレイ
ディスプレイは従来より継続して2300万画素のマイクロOLEDディスプレイを搭載しており、7.5μmのピクセルピッチや92% DCI-P3の色域も同様だ。しかし、ディスプレイのリフレッシュレートが100Hzから120Hzに向上したのは大きな変更点だろう。
もちろん他製品のProMotionと同様にスクロールした際の残像感が低減するのはもちろんだが、パススルー映像の追従性が向上するのが体験としては最も変わる部分であろう。実際、首を大きく振った際の体験は向上しているように感じた。もちろん、並べて比べているわけではないためプラシーボの可能性があることも否めないが。
さらに、visionOS 26からハンドトラッキングジェスチャが2までの30Hzから3倍の90Hzに対応し、よりスムーズ且つ広範に反応するようになった。この進化も相まって、思った通りに動作をする、という体験がより向上し従来から評価の高かったハンドトラッキングによる操作体系はより成熟した。また、Encounter Dinosaursで恐竜が近づいてくるシーンを見た際には、始まりにある蝶々が指に止まる演出で、指に止まる演出がかなり自然になったと感じた。
M5チップは…
「Apple Vision Pro (M5)」という製品名の通り、この新しいVisionはM5チップを搭載した。従来のM2から変化を感じられる部分といえばAI周りの性能向上であるのは言うまでもないが、残念ながら現状Apple Storeのデモ機にはApple Intelligenceがダウンロードされていない。そのため、ユーザーがデモ中で気軽に試せる範囲ではM2との差は感じられないというのが正直な現状だ。
もちろんVisionでもiPhoneなどと同様に作文ツールやPlaygroundなどさまざまな機能は今年4月のアップデートより搭載された。そのため、Visionを使う中でもApple Intelligenceを使えるシーンは容易にさまざま想像できるが、その体験はできない、そしてM5の性能を実感する機会もないというのは注意点だ。
対抗馬

このApple Vision Proが発売となった10月22日、日を同じくしてGoogleの“Project Moohan”初号機としてSamsungからGalaxy XRが発表された。もちろんHMDは実際の体験が重要なのは言うまでもないが、それでもスペックシート上では似通った性能に感じる。両目4KのマイクロOLEDディスプレイを搭載し、大量のカメラとセンサーで目と手をトラッキングすることでコントローラフリーの操作体系を実現するなど、外観も含めてSamsungはおそらくApple Vision Proを基準とされているような印象を受ける。
そして、このGalaxy XRは1799ドルとApple Vision Proの3499ドルと比べて半額程度に収まっている点が一番の注目ポイントだろう。どこまでApple Vision Proのような体験に近づいているのかは分からないが、仮に多少クオリティが低くとも許せてしまうのがこの価格だ。仮にAppleがやり合うのであれば、最低限2500ドル程度にはならなくてはいけないだろう。Appleが求める体験を実現するのに、どこまでの値段を下げられるかは疑問符だが、それでもApple Vision Airのようなものは競争環境において必要だろう。
総括
この体験を通じて、Apple Vision Proは「正統進化」をしたという印象を受けた。先代のM2モデルは初代とは思えない完成度を誇っていたと感じた一方で、そのデメリットとしてあげられていたバンドや、ディスプレイ品質を進化させてきたのは素直に高評価であった。
一方で、Galaxy XRのような対抗馬が目立ってきたことは、この空間コンピューティングが広まっていくきっかけになると思うとともに、競争が活発化するのは未来のコンピュータ体験が広まる二歩目になると感じた。Apple Vision Airという呼称は勝手に使ったものだが、VisionシリーズがファミリーとしてPro以外のモデルが出てくることにも期待したいと感じた。
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