まったく新しい「Appleの布」を本気でレビュー。
Appleは8月25日(日本時間)、M6を搭載したMac miniやM5 Ultraを搭載したMac Studioと同時に「ポリッシングクロス」をリニューアル、27日に発売した。この記事では、この布を新旧比較しながら詳細にレビューする。
ポリッシングクロスの概要
「新しい」と前述しているとおり、今回登場したポリッシングクロスは2世代目となるモデルだ。公式にはどちらも「ポリッシングクロス」という名称を使用しているが、この記事では便宜上先代を第1世代、今作を第2世代と呼び分ける。
このポリッシングクロスについて、Appleは以下のように説明している。
表面を傷つけない柔らかな素材で作られたポリッシングクロスは、Nano-textureディスプレイを含むあらゆるApple製品のディスプレイを安全かつ効率良くきれいにします。
最大のポイントはNano-textureディスプレイ(2019年に発売されたPro Display XDR以来、オプションとして一部製品に存在している)で、マットな質感を持つ特別なディスプレイ向けに作られたクロスという点だ。Nano-textureディスプレイに他の布を使用すると、その加工に悪影響を及ぼす可能性があることから、2019年時点からNano-textureディスプレイ搭載モデルには付属していた。その第1世代が単体発売されたのは2021年のことだ。当初1,980円で発売したが、日本では円安のあおりを受けて複数回値上げが行われ、2026年7月より2,980円となっていた。
8月に新発売されたこのポリッシングクロス(第2世代)は、3,000円近い価格をしていた製品の後継ながら、1,580円という手に取りやすい価格で登場したことが話題となった。米国では19ドルから9ドルであり、半額以下という価格設定だ。
Appleは価格以外の変更点を明らかにしていない。しかし、実物を比較するとパッケージだけでなく、クロス自体の厚みや柔らかさ、表面の質感にも明確な違いがあった。
梱包
まずはこの2世代のポリッシングクロスの梱包を比較する。なお、今回比較する第1世代のポリッシングクロスは第2世代の発売後にApple Storeの店頭で購入したものだ。その製造年月は2026年5月と記載されており、また©2024 Apple Inc.と箱に印字されていたためおそらく2024年に設計された箱であることが推察できる。そのため、2021年の発売当初からは変更されている可能性がある点をご了承いただきたい。
開封前の状態では、正面からの見た目がほとんど同じである。しかし、若干薄型化されているほか、開封時に剥がす「ペリペリ」が長くなっている点に注目できる。

そして、開封してみるとその構造は大きく違うことがわかる。第1世代は片方向に一度開けるだけなのに対し、第2世代は四方から展開して一枚の十字の板になる新設計を採用している。また、長くなった「ペリペリ」についても本体と粘着で固定されていた第1世代に対し、第2世代は1枚の板の1辺を破る形となっており、剥がしたペリペリに粘着がないような仕組みに改善されていた。

後述するが第2世代のポリッシングクロスは第1世代と比べて薄く柔らかくなっており、それに伴った変更と推察できる。第1世代のパッケージは閉じた空間からクロスを取り出すのに対し、第2世代のパッケージは開封すると内部はひらけており、前述の十字の板の上に乗っているだけだ。ハリのない第2世代の場合、第1世代のパッケージだと取り出すのも中にしまうのも一手間かかる。そのため、布の性質に合わせて取り出しやすさに配慮したパッケージになったと筆者は考える。また、布が薄くなったことの副次的な作用として箱も薄くなったため、1回に輸送できる積載量が増え、環境に配慮することにもつながりそうだ。
製品本体
前述したとおり、薄く柔らかい布になっている点が最大の特徴だ。第1世代は布にハリがあり、表面が粗い質感であるのに対し、第2世代は表面がきめ細かい。より眼鏡ふきのような質感に近づいた印象だが、筆者は裸眼であるため眼鏡ふきに関する知見は浅い。


両世代とも「すべてのApple製品のディスプレイおよび本体表面に安全に使用できます。」と台紙に書いており、Nano-textureではないモデルやディスプレイ面以外の筐体についてもお手入れすることができる。
肝心の拭きやすさであるが、筆者は第2世代の方が良いと感じた。第1世代の粗い表面はディスプレイとの摩擦が強く、拭くのに力がいる印象だ。一方で第2世代はきめが細かくなったことでより軽い力でも指紋や皮脂汚れを落とすことができ、老若男女誰でも使いやすいクロスに仕上がっている。また、薄く柔らかくなったことで、ディスプレイ面以外の拭きやすさが向上した。特に、Apple WatchのDigital Crown周りは拭きやすさが段違い、というかそもそも第1世代だとまともに拭くことができない。筆者の愛用するApple Watchが指紋のつきやすいジェットブラック仕上げであるため、頻繁にお手入れしたい身としては非常に嬉しい。

2つの世代に共通して、このポリッシングクロスは2枚の布からなっている。いずれにも接着芯などはなく、手でつまむと両側から引っ張って中に空間を作ることができる。また、この布がAppleの製品であるという点を誇示するAppleロゴ。第1世代ではロゴの縁が彫られていたのに対し、第2世代ではロゴ全体がプレスされ一段下がっている。なお、このロゴの仕上げは2世代とも片面のみだ。


箱に貼られた中国の合格証シールには、いずれも16cm四方であることが記載されている。実測してみると、第1世代は15.8cm四方、第2世代は15.9cm四方といずれも四捨五入の範疇に収まる。1mmの差が世代間の仕様差なのか、製造公差によるものなのかは判断できない。もちろん、筆者の手元にあるもので測ったためサンプル数が各1枚である点には注意が必要だが、目安として参考にしていただきたい。
注意点として、薄型化により画面を起動した状態でiPhoneやiPadを拭くと非常にマルチタッチが反応しやすい。第1世代でも若干反応することはあるが、第2世代では画面を表示した状態だとまともに拭けない。ロックした状態ではほとんど反応しないため、その状態で拭くことを筆者は強く推奨する。
懸念点
最後に、一つ懸念点を紹介する。先ほど台紙の表記について説明したが、第1世代のみ70%イソプロピルアルコールで拭いてもよい旨が記載されている。原文は以下の通りだ。
Safe for use on all Apple displays and surfaces. For infrequent cleaning of hard-to-remove smudges on nano-texture glass, a 70% isopropyl alcohol (IPA) solution may be used.
すべてのApple製品のディスプレイおよび本体表面に安全に使用できます。Nano-textureガラスに付着した落ちにくい汚れを落とす場合、あまり頻繁でなければ、70%イソプロビルアルコール(IPA)溶液で湿らせて拭いてもかまいません。
この表記が第2世代では削除されたため、Nano-textureディスプレイを搭載したモデルで、イソプロピルアルコールで拭いていた方の買い替え、あるいはこれから拭こうとしていた方は注意が必要だ。

なお、Appleのサポートページには8月28日時点でIPAに関する表記が残っている。しかし、このページは2024年11月から更新されておらず、ページ内にある購入リンクも第1世代であるため、第2世代でもイソプロピルアルコールを使用できるのか、公式の情報はまだ不明だ。
他社製品と比べると
ここまで新旧比較をしてきたが、このクロスの分野ではエレコムの製品が人気を誇っており、実際に筆者も長く使ってきた。筆者が持っているクロスは20cm × 22cm程度で、サイズだけで言えば倍近く差があるにも関わらず1,000円しない。厚さはAppleのポリッシングクロス2世代の中間点くらいであり、ふかふかとした1枚布だ。
ディスプレイを拭く能力としてはさほどAppleのポリッシングクロス(第2世代)と変わらない。拭きやすく、皮脂や指紋も適切に拭き取れる。必要十分という範囲は達成しているだろう。

では、Appleのポリッシングクロス(第2世代)が高額か、と言われればそれはノーだ。Appleのものは前述したように薄い2枚の布を重ね、端を圧着したような構造であり、物としての質感・クオリティには差がある。また、1枚で分厚さがあるため、柔らかさこそあるものの細かいところの拭きやすさはAppleのポリッシングクロス(第2世代)に劣る。サイズの差など用途によって異なる面もあり、一概に優劣をつけられるものではないが、500円から600円程度を多く払う価値は十分にあるクロスだと感じた。
総括
思わぬ形でリニューアルされたこのポリッシングクロスだが、全体を通して使い勝手が向上し、さらに価格も半額程度とかなり「ポジれる」アップデートであったように感じた。ティム・クック政権として最後に発売する製品がこれでいいのか、という議論はさておき(もちろんこの後に他の製品が出てくる可能性もありはするが)、万人にお勧めしたいポリッシングクロスに仕上がった。
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