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「Siri AI」発表 | 一機能から中核へ

「Siri AI」発表 | 一機能から中核へ

今年のWWDCの大目玉となったのが、次世代のApple Intelligenceだ。そして、その中心に位置づけられているのがSiri、新名称「Siri AI」だ。

Googleとコラボレートした新しい基盤モデル

今回のSiri AIは、次世代のApple Intelligenceを土台としている。従来もオンデバイスとPrivate Cloud Computeの2本柱でそれぞれにFoundation Modelを内蔵してきたが、そのFoundation ModelをGoogleとの協力によって、「次世代のApple Foundation Models」として構築したとした。これにより、テキストだけでなく、画像認識や画像生成、音声の理解と生成など、複数の形式を扱うマルチモーダルな処理が強化される。

Apple Foundation ModelsとGoogle Gemini Modelsの連携イメージ
GoogleのGeminiモデルを活用。

従来のSiriは主に音声アシスタントとしての色が強かった一方で、この新しいSiri AIはOSの中核機能としてSpotlight、写真、メール、メッセージ、Safari…といった日常的に使う各アプリと連携して動作することが重要な進化ポイントだ。

新しいUI

Dynamic Island

iOS 18でリリースされた従来のApple IntelligenceのSiriでは、画面全体がレインボーに輝くデザインだったが、これが今回はDynamic Islandに統合された。従来通りサイドボタンの長押しでも起動できるほか、Dynamic Islandから下にスワイプすることでSiriを呼び出すことができるようになる。

Dynamic Islandに表示されたSiri AIの回答
Dynamic IslandにSiriが表示。

Siriアプリ

また、Siriアプリが追加される。Siriとのやりとりが全て履歴として残る。さらに、iPhone、iPad、Macと全てに連携されることで、どの端末からでも会話を引き継いで続けることができる。

Macとの統合

さらに、MacのSpotlightと統合されたことで、Cmd + Spaceの起動アクションにより、Spotlightとして単語が呼び出された場合にはSpotlight検索の結果を、長文が送られた場合にはSiriが呼び出され、Siri AIからの回答が見られるようになった。

MacのSpotlightからSiri AIを呼び出している画面
SpotlightとSiriを同じ窓から呼び出せる。

また、マルチモーダルに対応し、さらにmacOSに内包されたことから、テキストや画像などを選択した状態でControlキーを押すとコンテキストメニューからSiriの回答が得られるようになった。

複数の見積書を表にして比較したり、メールやメッセージを読み出して回答を提案してもらったりと、SiriがMacの体験に入り込めるようになった。

オンスクリーン認識とパーソナルコンテクスト

Siri AIの大きな特徴のひとつが、オンスクリーン認識だ。Siriは、いま表示されている画面の内容を理解し、それに応じた回答や操作を提案できるようになる。

例として、写真を表示している状態で場所を尋ねるとSiriがその位置を推定したり、さらにその近くに住んでいる友人の情報を探して、その友人宅に立ち寄るルートを提案したりすることが可能となった。

さらに、写真アプリでは「先週末の旅行で撮った写真を見せて」といった自然な依頼にも対応する。Siriは、写真ライブラリの中から新しい検索ツールを介して最適な写真を見つけられるようになった。

WatchとVisionへの対応

Siri AIは、iPhone、iPad、Macだけでなく、Apple WatchとApple Vision Proにも展開される。

Apple Watchでは、watchOS向けに調整されたSiri AIが搭載された。その中核となるSiriアプリを、全く新しいApple Watchのアプリグリッドから起動でき、質問や操作をその場で行えるようになる。

Apple Vision Proでは、空間コンピューティングに合わせたSiri体験が用意される。デザインが刷新されたSiriのボールは3D空間上に配置でき、周囲の物体や表示中のウィンドウについて質問して答えを得ることができる。

Apple Vision Proの空間に表示されたSiri AI
visionOS 26の新しいボール状のSiri。

新しいVisual Intelligence

従来iPhoneのCamera Control長押しで起動していたVisual Intelligenceはカメラアプリに統合され、さらにスクリーンショットからの Visual IntelligenceはiPadOSやmacOSにも展開された。キーボードショートカットから起動し、画面上に表示されている内容についてSiriに質問したり、関連する操作を提案してもらったりできる。例として、画面上のイベント情報を読み込み、カレンダーに追加されるような使い方が紹介されていた。

さらに、 Visual IntelligenceもSiriと統合して進化した。料理にカメラを向ければ栄養情報を確認したり、請求書に向ければ割り勘の計算を手伝ったりできる。

Visual Intelligenceでレシートを読み取り割り勘を計算する画面
割り勘の計算もVisual Intelligenceがやってくれる。

文章作成や音声入力も強化

Siri AIは、文章作成にも深く関わる。新しいライティング機能では、自然言語で依頼することで、白紙の状態からメールや文章の下書きを作成できる。さらに、メールやメッセージでは、相手との普段のやり取りに合わせた文体を反映することもできる。

また、Siriの音声体験も強化される。より表現豊かな音声になり、システム全体の音声入力も大きく改善される。スペル、句読点、大文字化などをより正確に反映し、キーボードに統合された機能として、メッセージやメモ、ジャーナルアプリなどで幅広く利用できる。

この声はユーザーがカスタマイズできるようになり、英語では5つの声から選択できるほか、ピッチや表現がスライダで調節できるようになり、より自分らしいSiriを作り出せるようになった。

さらにこの新しい声のSiriはCarPlayやAirPodsにも広がり、プラットフォーム全体で統一した体験が提供できるようになった。

プライバシーを重視

Appleは、Siri AIについてプライバシーを強く打ち出している。 プライバシー重視を打ち出しながら、結局データは保存してプライバシーの面はユーザーに委ねている、と他社を批判しながら、Appleは処理を可能な限りオンデバイスで行うことを主張した。また、必要に応じて利用するPrivate Cloud Computeもデータはユーザーのリクエストを処理するためだけに利用すると主張した。そのため、Appleの人間がアクセスすることもできず、さらに第三者によって確認できる状態になっている。

対応機種は引き続き

原則、この新しいSiri AIの対応機種は以前と同様「iPhone 15 Pro以降」「iPhone 16以降」「iPhone 16e以降」「iPhone Air」「iPad Pro M1以降」「iPad Air M1以降」「iPad mini (A17 Pro)」「Apple Silicon Mac」「全てのVision」だ。

しかし、前述した声のカスタマイズに対応したものは、iPhone/iPadの場合は12GBのユニファイドメモリが、Macの場合はM3チップ以降が必要とされている。

ただし、EUと中国においては、法的な制限から他の国や地域のように頭から使うことはできない。前述したようにプライバシーを重視した設計であることからしかたないが、

まとめ

Siri AIは、従来のSiriを単純に高性能化したものというより、Apple IntelligenceをOS全体に広げるための中心的な存在だと感じた。音声で質問するだけでなく、画面上の内容や個人のコンテクスト、アプリ内の情報をもとに、より自然に操作や作業を進められるようになる。

もちろん、対応言語や地域、デバイスなどの制限により、全員が同様の恩恵を受けられる、というわけではない。それでも、今回の発表はSiriが「音声アシスタント」から、Appleの体験を横断して存在する基盤へと変化したのは間違いない事実だろう。

Nao

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