プライドアナログ | レインボーと針【Naoの文字盤論 #03】
本連載の前回、プライドデジタル編にて関連する文字盤として紹介した「プライドアナログ」。毎年6月のプライド月間に併せて追加されるPride Collectionの文字盤としては二番めに歴史が古い。
プライドアナログの概要

プライドアナログは、連載の前回で紹介したプライドデジタルと対になる文字盤で、こちらもLGBTQ+コミュニティをたたえることを本分とする。
フルスクリーンと円形の二つの形が選べ、円形には四隅にコンプリケーションが置けるのは他の円形文字盤と同じだ。また、スタイルもIとIIから選べ、スタイルIがプライドデジタルのII、スタイルIIがプライドデジタルのIIIにそれぞれ対応する。
前回のプライドデジタルで紹介したタップすると色が変わる設計は同様だ。それぞれの色が畝るだけでなく、円形のデザインにしている場合、その円の枠を超えてこのカラフルな同心円がバウンスする。

さらに、腕を下ろすたびに、または毎分この色の並びがローテーションするのも特徴だ。同心円であることからその並び順によって各色の面積は大きく変わり、そのおかげでこの文字盤を見るたびに異なる印象を受けることになる。 これは多様性を表現するプライドコレクションらしい表現と言える仕掛けだろう。
フルスクリーンに映える文字盤
スタイルI

2019年に配信されたwatchOS 5.2.1で追加された文字盤で、プライドデジタルのスタイルIIの配信と同時だった。このタイミングで登場したプライドコレクションのバンドはスポーツループで、カラフルな糸が織り込まれていることを特徴とする。
プライドデジタルのスタイルIIは初めてフルスクリーンのデザインを採用したものであり、前年秋に登場したApple Watch Series 4で最も映えるようになっていた。同様に、このプライドアナログもこのフルスクリーンでのデザイン性にこだわられており、画面が小さく角丸加工がされていないSeries 3以前では前述の円形のスタイルしか選べない。全面的にカラフルな文字盤と、全面的にカラフルなバンド。これがSeries 4時代であるこの年の特徴だろう。
そのため、スタイルIは織られているバンドであることが表現される細い線が重なったようなデザインになっている。そして、このスポーツループは両側面や留め具などに赤の色が用いられており、それがこのバンドデザインの力強さを表現しているように感じる。プライドフラッグは通常6色であるが、このスタイルIは赤と橙に中間色が設けられていることで、バンドと同様に赤を基調とした色の力を感じる。
スタイルII

そして、2020年のwatchOS 6.2.5でスタイルIIが追加された。前述したようにプライドデジタルのスタイルIIIと関連するもので、その年のプライドエディションスポーツバンドとリンクするデザインだ。
この2020年のプライドエディションスポーツバンドは、スポーツバンドとして初めて複数色が用いられたバンドとなった。この複数色が入るデザインは成型の過程で色の境目が直線とはならないことが特徴で、それによりすべてのバンドが二つとないデザインを持つ。それと前述したスタイルIIのバウンスするアニメーションは関連性を持っているように推察でき、腕を上げる際のうねりとバンド自体が持つ固有のうねりが統一感をもたらす。
Series 4と文字盤
前述したように、Apple Watch Series 4で画面が大型化され、角丸加工もされたことで文字盤が表現できる幅が大きく広がった。その大画面の使い方として、2018年の発売時点では「インフォグラフ」文字盤をはじめとした情報量への活かすことをアピールしていた印象だ。
一方で、このプライドアナログはこの画面サイズをデザインと表現に使った。バンドとの一貫性を保ち、プライドのコンセプトを表現する。そのような点でこのプライドアナログは特徴的だった。
連載のカリフォルニア編ではこの大画面を腕時計らしさに使った例としてご紹介したが、プライドアナログは「大画面にデザインを大きく表示する」という設計でもプライドの思想を表現するという別の意味を持った。
総括
記事の公開が6月から少しずれ込んでしまったが、前回のプライドデジタルと合わせてこのプライドアナログは初期から存在する「思想を表現する」文字盤となった。
円形では情報量と両立させられるのはもちろん、フルスクリーンは当時のApple Watch文字盤のトレンドを考えても異質なところで、それだけAppleがこのようなPride Collectionを重視しているかも伝わる。「時計」らしさとプライドの文脈が重なったのがこの文字盤と言えるだろう。
脚注
- Apple Watch faces and their features – Apple公式サポート
- Apple Watch gains ‘2019’ Pride face update in watchOS 5.2.1 – 9to5Mac
- watchOS 6 advances health and fitness capabilities for Apple Watch – Apple Newsroom
- As Pride goes virtual, Apple Watch Pride Edition helps community and advocacy continue worldwide – Apple Newsroom
- Pride Bands 2016-2020 – Basic Apple Guy
- Pride 2020 – Basic Apple Guy
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